日本野鳥の会札幌支部 支部報

カッコウ

野鳥観察地の仲間入りした旭山記念公園

公益財団法人札幌市公園緑化協会 旭山記念公園職員 皆川 昌人

 十年一昔といいますが、10年前、旭山記念公園で継続的に野鳥観察・撮影をしていた人はほとんどいませんでした。わずかに夏鳥到来の頃に大きなレンズを抱えた人をちらほらと見かける程度。双眼鏡を持つ人もまずは見なかった。それが今では平日でも10人、土日で30人、シマエナガのハイシーズンには50人にもなろうかというくらいに賑わっています。

 都心から車で15分と近く、天然記念物の藻岩山につながる森があり、主な森林性野鳥が揃い、クマゲラまで見られるというポテンシャルがあるのになんだかもったいない、とかつては思ったものでした。「旭山記念公園はただ眺めがいいだけの場所で、野鳥が見られるなんて知らなかった」そんな声を今でも時々耳にしますが、それが一般のイメージだったのでしょう。桜や紅葉を愛でに来る人は以前からそれなりに多かったのですが。

 この状況の変化は、シマエナガブームとともに野鳥写真撮影者が爆発的に増え、それまで注目されていなかった旭山にも目が向けられたからではないかと思われます。公園で毎月開催している野鳥観察会も、以前は5月6月以外は参加者10人いくかいかないかくらいでしたが、今では月2回開催で毎回定員が埋まるほどになりました。

 2008年まで⾏われた旭山記念公園再整備計画における市⺠参加ワークショップの中で、冬の公園利⽤促進が課題として挙げられていましたが、図らずもシマエナガ撮影者が集まることでそれもクリアされました(家族でのそり滑りなど雪遊びと冬山登山者の利⽤も増えています)。

 旭山では今までに114種の野鳥が記録されており、それらにはサンショウクイなど1回から数回しか記録されていない種、コウライキジなどかつては見られたがもうずっと見られていない種、マガンなど上空通過の種も含まれています。毎年その時期になるとほぼ必ず見られる野鳥は70〜80種といったところです。

 旭山記念公園は斜面にあって目線の高さや見下ろしで撮影する機会に恵まれ、「空抜け」にならない写真が撮りやすいという撮影者の声をよく聞きます。また旭山はほとんどが二次林で樹木が若く、低い位置の枝葉に鳥が来やすいのもよい点といえます。そして、市街地から近いことで、初めて野鳥観察・撮影をする人の「入口」的な場所としての意味合いが大きい。クマゲラ遭遇率も冬から春には高くなります。シマエナガ?ああ、よく見ますね。

クマゲラ雄 2019 年1 月17 日旭山記念公園

 こうして、旭山記念公園は晴れて野鳥観察撮影地の仲間入りしたのでした。

 しかし、新たな問題が・・・ヒグマ。今年7月から3回公園内での目撃情報があり、その度に公園は全面閉鎖もしくは展望台周辺だけの一部開放という状況が夏から秋まで続きました。以前から藻岩山の尾根付近での目撃情報は毎年少なからずありましたが、公園内で複数回目撃というのは「まさか」ともいえる事態でした。

 ヒグマの生息頭数は増えているそうですが、まさに人と自然、市街地と山林の境に位置する旭山記念公園は、ヒグマとの付き合い方を真剣に考えるという局面に入ったといえるでしょう。

 ヒグマのことを意識した上で、「野鳥観察・撮影の入口」としてこれからも旭山記念公園が機能してゆくことと思います。